27日に行われた浦和レッズ対清水エスパルス戦において、清水サポーターを浦和サポーターが締め出して長い時間監禁下という事件があった。
このことについて、いろいろな意見が出ていますが、私なりに考えました。
まず今回の事件の経緯ですが。
浦和が攻勢を強めながらも得点を上げられず、逆に清水が3本のシュートしか放てないながらもそのうちの1本がゴールに入り、勝ったこと。
それに対して清水サポが勝ちロコと呼ばれる、簡単に言えばメンバーをたたえていたわけです。
ところがそれが長すぎたために、浦和サポが挑発行為ではないかとクレームをつけ始め、その後残った50人程度の清水サポを浦和サポが締め出した、という事です。
こう書くと、なんだか浦和サポがバカじゃん、と思われるのですが。
実はこの件について、次の条文が規定されています。Jリーグ規約第51条です。
第51条〔Jクラブの責任〕
(1) ホームクラブは、選手、チームスタッフ、実行委員、運営担当、広報担当、審判員および観客等の安全を確保する義務を負う。
(2) ホームクラブは、観客が試合の前後および試合中において秩序ある適切な態度を保持するよう努める義務を負う。
(3) ホームクラブは、前2項の義務の遂行を妨げる観客等に対して、その入場を制限し、または即刻退去させる等、適切な措置を講ずる義務を負う。
(4) ビジタークラブは、サポーター対応担当(運営担当、セキュリティ担当との兼務可)をアウェイゲームに帯同し、第2項に基づくホームクラブの義務の履行に協力するものとする。
(5) Jクラブは、試合が開催されるスタジアムに、暴力団員等を入場させないよう、努めるものとする。
これに伴い、不文律としてJリーグでは選手退場後、サポーターの速やかな退場がルール化されているようです。
これは私も今回の件に関して調べていく中で、浦和レッズサポが2009年にFC東京社長に苦情を言われたことからわかったことです。
ちなみに試合終了後について…(こちらはJリーグ試合実施要項)
第51条〔公式記録〕
(1) 記録員は、所定の公式記録用紙(別紙10)により、試合記録を作成し、試合終了後、内容確認のためマッチコミッショナー、主審およびホームクラブの運営担当(正)の署名を受けたのち、すみやかに報道関係者等に配布する。
(2) ホームクラブの運営担当(正)は、公式記録の原紙をすみやかにJリーグ事務局に提出しなければならない。
(3) 略、ただしこの文面が大宮アルディージャのペナルティの根拠になっている(苦笑)
第52条〔試合運営報告〕
(1) ホームクラブの実行委員は、試合の実施または運営に関し問題が生じた場合、試合終了後すみやかに「試合運営報告書」(別紙11)に必要事項を記載し、Jリーグに提出しなければならない。
とやることが多いので、アウェーチーム関係者もそれを助けるために速やかに観客を退場させる姿勢を見せなければいけないのである。
今回の騒動は、浦和サポが清水関係者がそれをさぼって挑発をしているようにとらえたのかもしれませんね。
ちなみにJ1リーグ最悪の試合と言われた2008年5月17日の浦和vsガンバ大阪戦では。
試合前よりガンバ大阪サポから水風船爆弾が浦和サポのいる席に向かって投げ込まれ、子どもがそれに当たってしまう。
ガンバ大阪の選手が出して浦和ボールになったスローインをガンバの選手がスローインして、そのボールが2点目の失点につながってしまう。ちなみに主審は岡田正義。
最終的に2-3で勝ったガンバ選手の選手がセンターサークル上で「ワニナレナニワ」をやってしまい、闘莉王(現名古屋)が「場所を変えてやれ」と注文を付けたところでバレー(現清水、そういや清水の騒動の時もこの人いたなw)が応戦して小競り合いになる。
で浦和サポとガンバサポが本格的な罵り合いになり、浦和サポが当時まだ狭かった緩衝帯を乗り越えて殴り込みに行ったり、双方で応援旗の竿とか緩衝帯の柵を破壊した棒を投げ合うなどの暴動になり、ガンバサポの1人が観客席からスタジアムに落ちて大けがをし、結果的にガンバサポを缶詰め状態にしてしまった、と。
結果は浦和に2000万円、ガンバに1000万円の罰金が下った。
もともとはガンバの一部サポの悪行から端を発し、岡田正義の誤審から失点をしたこと(その関係で立て続けに3人イエローが出たらしい)、さらにガンバの選手がセンターサークルで「ワニナレナニワ」をやったことで、浦和サポがキレてしまったのが真相なのだが。
これなんか典型的な規約51条違反であるのは言うまでもありません。
サポーターが暴動を起こすきっかけを起こしたのはガンバの方であるし、選手自身が嬉しいからと言ってアウェーのスタジアムのセンターサークルで勝利の雄たけびなんて、それこそホームチームの侮辱以上のなにものでもないわけです。
である意味被害者的な浦和ではあるけど、結局サポが挑発に乗って暴動を起こしてしまったし、なによりも観客を怪我させたために規約第51条違反に問われて、ガンバ以上の厳罰を下されたわけです。
教訓として。
別に勝ったから喜びたいというのはアウェーでも同じ。勝ったら選手もサポも思いっきり喜べばいい。
だけど試合はホームチームの運営のおかげで成立しているもの。喜ぶことは喜ぶところで、でもホームチームの失礼にならないようにアウェー席の自分たちのチームのサポの前で喜び、ひとしきり喜んだら選手もサポもさっさと撤収。
それがよきアウェーチームの姿だと思うような気がしました。
実際清水サポがみんな監禁されたわけではなく、多くの清水サポはそんなことがあったとも知らずに美園のセンターで飯を食っていたり、浦和サポと一緒にバスや電車に乗っていたわけですから。
さいたまダービーを見てほしい。
試合会場では相手を糞味噌に罵るのは当たり前
ゲーフラだって応援歌だって、極度にブラックなのは普通。
でもゲームが終われば、大宮サポと浦和サポが並んで歩いて帰るのはごく当たり前。
昨年のNACK5では浦和サポがふがいない浦和のチームバスを取り囲むことはあったけど、その程度。
お互いゲーム中のことはゲーム中のこと、それ以外ではお互いに相手に敬意を払っていると分かっているから、殺伐としたさいたまダービーでもちゃんと成立しているわけ。
まあ他のチームも他山の石としないで、考えてほしいと思いました。