今回もなんでこんなに色々と出てくるんだろう、と嘆きながら、今週のレビューに入ります。
有栖莉空の前座が終わり、みのりの準備が整う。
みのりが莉空に「ありがとう、お前のお陰だ」と声をかけるが、莉空はしばらくしてから、「みのり先輩、大好き」ととんちんかんな答えを返す。
みのりはそれに違和感を感じながらも、自分が望んだ一歩に向けて、４年分の感謝を込めて歌おう、踊ろうと決意してステージに立とうとする。
そのみのりの目に、センターポジションの前に置かれたメトロノーム…
莉空はもう耳が聴こえていなかったのだ。
みのりはそれを見て、改めて自覚した。
自分が男だと分かりながらも、みのりと一緒に卒業公演をやりたいと雪の中を探してくれたメンバーたち。
みのりが浦山実の女装であることを分かっていながら、それでもステージに戻ろうよと実を誘った吉永寛子。
そしてステージでは、みのりが戻って来るのを信じて、たった１つのメトロノームとわずかに伝わる振動だけを頼りに「放課後☆下克上」を歌い上げて観客を魅了した有栖莉空が待っていた。
莉空は自分にブーイングが来るのは承知していた。でもそれを自分は聞かないで済むメリットはあった。
でもそれ以上に、莉空にとってのみのりは、尊敬に値する存在であった。
莉空が寛子を救うためのやらせの飲酒喫煙スキャンダルで活動停止になった後、みのりはメンバーに声をかけて２ヶ月遅れの生誕祭をやってくれ、少なくてもメンバーとは円満に卒業させてくれた。
莉空にとってはそれが全てであった。だから今回の異変を感じた莉空はここでみのりへの借りを返したのだった。
そしてその想いは、恐らくは莉空の耳がもう聴こえなくなっていると分かっていたであろう寛子にも伝わっていた。
もはや単なる卒業公演ではない。何とか歌い切った莉空を見てうっすらと涙を浮かべながら、凄い公演に立ち会っているんだと寛子は改めて自覚する。
そしてそれはみのりも同じ。もはやただの卒業公演ではない。ステージへの一歩を踏み出した先に何が待っている事が怖くないと言えば嘘だと正直に思っている。
一旦は劇場に来たけど、怖くて逃げてしまった。
そして結果的に自分が浦山実の女装だとＡＫＢのメンバーにも、そして吉永寛子にもばれてしまった。
しかしそれでも「浦川みのり」の最終公演をみのりと一緒にやることを信じて頑張ってくれたＡＫＢのメンバーやスタッフ、有栖莉空、そして吉永寛子がいる限り、そして自分を支えてくれたファンがいる限り、自分は「浦川みのり」としての最後を勤め上げる責務を果たさなければいけない。
そして「浦川みのり」は、ファンを信じ、仲間を信じ、最後の大河を笑顔で渡り始めた。
ちなみに今回は作品タイトルについて。
AKB49では多くのタイトルにAKB48グループの楽曲名を当てることが多いが、カウントダウンが始まった45号からの曲とその背景を探ってみた。
45号（249話） 残念少女（チームB4th「アイドルの夜明け」公演収録）
46号（250話） 前（オリジナル曲なし？）
47号（251話） ひこうき雲（チームA5th「恋愛禁止条例」公演収録、メジャー14作目「RIVER」収録）
48号（252話） 汚れている真実（メジャー40作目「僕たちは戦わない」TypeC収録）
49号（253話） 大声ダイヤモンド（メジャー10作目収録）
50号（254話） 会いたかった（メジャー1作目収録）
51号（255話） 最終ベルが鳴る（チームK4th「最終ベルが鳴る」公演収録）
52号（256話） 放課後☆下克上（オリジナルタイトル（GEKOKU嬢））
１号（257話） RIVER（メジャー14作目「RIVER」収録）
（３日追記）
途中で終わらせてごめんなさい。
気がついたら１時を過ぎていたので切ってしまいました。
何分にもこの時期、ただでさえ忙しいところに持ってきて、連日フル稼働の状況が続いていまして、とても仕事場で寝る余裕すらない状況。
気がついたら電車の中であっという間に寝てしまい、持っていたタブレットを落とすことも多くなってきました。
で本題です。
このタイトルの中で、間違いなく曲名とタイトルが合っているのが50号の「会いたかった」と52号の「放課後☆下克上」であろう。
「会いたかった」は浦山実が「自分のせいでＡＫＢが壊れる」と不安に駆られているのを払拭しようと、吉永寛子が自分の４年間の成長を実に見てもらいたいのと、この曲の言葉を借りて「自分の想いに素直になろう」と語りかけるために歌った曲であり、52号の「放課後☆下克上」はGEKOKU嬢（浦川みのり、吉永寛子と岡部愛）のオリジナル曲であるが、当時ラージヘッドレコードに所属していた有栖莉空が自分の立場を忘れて熱狂した曲であり、それがもとで浦川みのりに興味を持ち、それこそヘビロテしてまで聴いた曲であったため、耳が聴こえなくなった中で唯一メトロノームを頼りに歌えた曲でもあった。
そしてその次にニュアンス的にいいのが48話の「汚れている真実」、49号の「大声ダイヤモンド」、51号の「最終ベルが鳴る」、１号の「ＲＩＶＥＲ」であるのは間違いない。
48号の「汚れている真実」はまさに浦川みのりが浦山実の女装であったことがバレた回で、その後の混乱ぶりが描かれた回であった。でもその中で柏木由紀が４年間もただ騙すだけのために一生懸命頑張ったのか？ と疑問に持ったことから水野春子の「男だという理由だけで公演をすっぽかすのは許せない」発言→寛子の「宝春バレ」発言→高橋みなみの「ＡＫＢに迷惑をかけないためのすっぽかし」発言で騒動が収束に向かい、さらに戸賀崎に託した手紙でみのり（＝実）の存在の意図が明らかになったところで寛子を筆頭に秋葉原の街にみのりを探しに出かける展開につながる。それが49号のＡＫＢメンバーが総出でみのりを呼んで探し回る「大声ダイヤモンド」のタイトルにつながっている。
51号の「最終ベルが鳴る」は寛子が何とか実を説得しているが時間切れが迫り、戸賀崎が何とか場をつなごうとキレかかるが、その緊急事態を察知した莉空が独断でサクラに頼み込んで前座ガールズを務めたところで事実上「浦川みのりの卒業公演」を始めたという意味であろうし、１号の「ＲＩＶＥＲ」はその先自分がどうなるかわからない、でも自分の想いを信じ、とにかく前を向いて荒波の中に立ち向かっていこうという「みのり」の決意を表すのにぴったりの曲であった。
