スーパー白鳥13号運行記録3

このブログは超ぐうたらワンマン運転士の日常(もはや気が向いたら、という気もw)を書いたブログです。はてなダイアリーで公開していた運行記録2が今年の春になくなるため、新たに作成しました。2005年11月4日…「運行記録2」暫定開業/2005年11月14日…「運行記録2」本格開業/2019年1月13日「運行記録3」移行開業

電王戦Finalについて思ったこと。

 ご無沙汰しておりました。私はまだ生きておりますw
 なかなか書く時間がなくて、このブログは止まっていることが多いんですけどね。
 とりあえず私のサイトは絶賛放置中ですけど、気にしないでくださいねw


 さて、タイトルの事です。
 電王戦という、簡単に言えばプロ騎士と将棋のプログラムのどっちが強いか、という対抗戦をやっていました。
 今年は棋士側が3勝2敗で勝ち越したのですが…
 その事について、新聞記事にも出たので書いておきましょう。
 ちなみに電王戦の結果は以下の通りです。(ちなみに左側が先手番です)
  第1戦 斎藤慎太郎五段 ○ vs ● Apery(開発者:平岡拓也、杉田歩、山本修平)(115手)
  第2戦 Selene(開発者:西海枝昌彦) ● vs ○ 永瀬拓矢六段(89手、王手放置による反則*1
  第3戦 稲葉陽七段 ● vs ○ やねうら王(開発者:磯崎元洋、岩本慎)
  第4戦 ponanza(開発者:山本一成、下山晃) ○ vs ● 村山慈明七段(97手)
  最終戦 阿久津主税八段 ○ vs ● AWAKE(開発者:巨瀬亮一)(21手、巨瀬の棄権による)


 この結果を見て分かったかもしれないが、実は第2戦と第5戦はプログラム側が「本来ありえない状況」で負けになっていることにお気づきであろうかと。
 これについて、私は以下のような見解を考えている。


第2戦
 これは永瀬六段が、Seleneのプログラムにあった「歩、角、飛の不成を省略していた」というバグを突いて、1六にあった△角を▲3八玉を直接取れる2七の位置に「わざと」不成で置いたにもかかわらず、角を取る*2、あるいは逃げるといった対策を取らないで、後手玉を縛りに行く2二に銀を打ったため、反則手になったのだが。
 この件については、2つの理由から永瀬六段の取ったバグ潰しについてはありかなとは感じていた。
 1つは、序盤、Seleneが▲7六歩と角道を開けた瞬間、永瀬六段は△2二角でSeleneの▲8八角を取ったのであるが、この時は本人が不成のバグを理解していたにもかかわらず、ここではちゃんと成ったこと。
 もう1つは、投了直前に△8一飛と打った後、▲3二角成、△同玉、▲1三歩成と進んだ段階で、後手玉自体が差し当たり積む手順がなくなり、逆に先手玉を詰ます手順がきちんとできていたこと*3。実際角を成らなかったことで3七に逃げ道はあったのですが、その後△2八角、▲2六玉、△1四桂、▲同と、△同銀で、以下それほど手数をかけずに詰まされるので、成ろうが成らなかろうが、この時点で紐のついていない△2七角を▲同玉で取りに行く一手なのです。以下△1七香成、▲2六玉と進み、以下角が成ろうが成らなかろうが関係なく先手玉が詰まされることになります。
 そういう事が理解できていたので、反則負けになった時にはいろいろと出たのだが、結局は誰もが勝敗自体には納得できた形で収束したのであった。


第5戦
 これについては、実は開発者の巨瀬さんの意見には不快な感じを受け取ってしまいました。逆に言えば、巨瀬さんが最後の最後で電王戦を潰してしまったかなと。
 実はこの話にはネタがあって、「電王AWAKEに勝てたら100万円(ニコニコ動画)」で唯一負けた時に露呈した「序盤で角桂交換になるコンピュータソフトにほぼ共通する盲点」をプロが突いてきたことで、角が取られそうな流れになった時点で棄権をすることを考えていたそうです。
 この話を聞いた、いろんな報道を見ている中で、正直これは不快感を感じる発言であったと感じました。
 ちなみにこの巨瀬さんは奨励会にもいた人なのですが、この人が棋士になれなかった理由も何となくわかりました。
 実は同様な状況が「電王AWAKEに勝てたら100万円(ニコニコ動画)」の2日間で10回程度再現されたのですが、負けた1回以外は盛り返して逆転勝利したのです。負けた1回についても、玉を詰まされたものではなく、入玉戦になって駒数で負けたものだそうです。
 つまり公式的には実力で負けた局はなかったのです。
 なのにプロが同じ戦法を使ったところで、「プロもアマがやるような戦術を使うのか?」と感じて棄権したのだそうです。


 なんかおかしくないですか?


 プロというのは、自分のプレイでお金を稼ぐ人たちでしょ?
 お金を稼ぐためなら、許されることはなんだってやる、それが普通じゃないのかな、って。
 永瀬六段だってSeleneのバグを見つけたからそれを使った。もちろんプロとしてのプライドもあるから、普通に指しても勝てるという状況になってからバグを指摘したわけですけど。
 それが普通なんですよ。
 で阿久津八段もそういうバグを見つけたから指した。
 でもその時点でAWAKEが負けたわけではありません。角損にはなったけど、やり方によってはどうにでもまだなれる展開です。
 それを「巨瀬さんは」拒否した。まだ「AWAKE」が負けていないにもかかわらず。
 そしてその理由を阿久津八段に押し付けた。
 その話を聞いて、最低なヤツだな、と思いました。
 阿久津八段にも、電王戦を主催した方たちに、視聴者の方たちに。
 そして、他ならぬ「AWAKE」に失礼です。
 負けたっていいじゃない、バグがあったら、そのバグを次に直してやればいいだけ。負けることでいろんな収穫が得られることだってある。
 それを巨瀬さんは拒否した。
 そういった人が人間的に成長するわけがないし、奨励会をクビになったのも当然だろうな、と思いました。


 個人的には「Selene」にはもっと頑張って欲しいと思います。西海枝さんの謙虚な姿勢があれば、もっと強いソフトになるのではないかと信じています。
 そして電王戦はこれで終わりになるそうですけど、棋士とコンピュータソフトの対戦というのはこれからも続けていってほしいなと思います。

*1:Seleneは89手目を打っているが、その89手目が王手放置による反則負けの手になったため、実際に駒を動かす「電王手くん」は89手目を指さずに反則負けという形になった

*2:実はこの時点で△2七角にはヒモがついていないので、取ることは可能だった

*3:実は△2七角不成の時点で第3戦に出場し、第2戦の評価ソフトとして待機していた「やねうら王」の評価値はSeleneの+480であった